パラオの海に光る石〜ミラクルオーブ〜

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パシャッ、パシャッ(たくさんのカメラの音)

 

とある記者会見現場…

 

記者A「いや〜、この度は素晴らしい功績を残された清水太平様のお話を聞けるとは本当に光栄です。」

 

記者B 「あの伝説の古代魚ダイオウノツカイを釣り上げることに成功するとはまさに奇跡とも言えますね。」

 

記者C 「今回の成功の秘訣はなんだったのでしょうか?」

 

太平 「えー、私も初めは今起きている出来事を信じられずただただ呆然としていました。

そんな私ですが、数年前からこのパラオという地には確実に古代魚の帝国が海の底に広がり、存在すると確信していました。

 

記者A 「しかし、気になるのはどうしてあんな有名な釣り場の海の底に古代魚がいると確信できたのでしょうか?」

 

太平 「お、それはいい質問ですね。有名な釣り場でたくさんの魚が釣れる場所には古代魚なんて存在しない。この考えが我々人間の固定観念であり、古代魚たちはその人間の穴をついていたのです。」

 

記者B 「つまり…今のお話を聞いていると、古代魚たちは人間の裏をかけるくらい頭がいい存在であるということでしょうか?」

 

太平 「その通りです!

だから私はある考えにたどりつき、それを実行し成功しました。」

 

記者C 「ある考えとは??」

 

太平 「知りたいですか??」

 

記者全員 「ぜひ、知りたいです!」

 

太平 「それでは教えましょう!

それは…」

 

場面は変わって…

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数年前…

パラオのとある海の底…

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王 「皆のもの!

我々は今、ある決断を迫られている。」

 

古代魚たちがざわざわとする…

 

王 「数年前から我が王国の上に謎の光り輝く存在が現れた。その光により我々の行動範囲は広がり、発展してきた。

そこで、私はあの光る存在を聖なる力をもつ宝玉という意味で“ミラクルオーブ〟と名付けた。」

 

古代魚たち 「ミラクルオーブ万歳!!」

古代魚たちは盛り上がる。

 

王 「そこでだな。私は考えたんじゃが…あの光の一部を手に入れることができたらさらに我々の暮らしは発展するのではないかと…」

 

古代魚たち 「そうだそうだ!!」

 

王 「そこで、誰かあのミラクルオーブから一部光をとってきてもらえんかの??」

 

そこに1人の古代魚が声を上げる。

古代魚A「王様、あれは危険です!あれはきっと何か別の種族の罠に違いありません!」

 

古代魚たち「王様にたてつくのか!

バカか!お前はひっこんでろー!」

 

王 「ほー、お主。わしに逆らってまで意見を出すとは根拠があるんだろうな?」

 

古代魚 「根拠は…ありません…

でも、絶対あれは危険です!」

 

王 「根拠もないのによく言えたものだ。お主を反逆罪として処刑に処す。」

 

古代魚 「なれば、もう処刑される身。身をもって危険を証明してみせます。」

 

すると凄い勢いで古代魚はミラクルオーブへと向かって行った。

 

王 「ついでに一部をとって来なさい〜

そしたら処刑は考えてやるぞー」

 

王はミラクルオーブへと向かう古代魚に向けてそう言い放った。

 

古代魚はみるみるうちにミラクルオーブへと近づいて行く。

そしてとうとうミラクルオーブへと辿り着いたのだ。

 

古代魚 「今からこの身をもって危険を証明する!

よーくみとけ!」

古代魚は大声で下で待つ者たちに言い放った。

 

古代魚がミラクルオーブに触れたその瞬間だった…

古代魚の身体は宙を舞いそのまま水上へと消えていった。

そしてその後すぐものすごい轟音とともにミラクルオーブも消えてしまった。

 

古代魚たち 「ミラクルオーブが消えた…

どうしてだ…、まさか…」

 

王 「ミラクルオーブ…

やつの言ったことが正しかったのかもしれない…」

 

古代魚たち 「王様、あんなやつを庇うのですか?

あんなやつが正しかったとでも?」

 

王 「ああ…」

 

古代魚たち 「なぜです?」

 

王 「あれはまだわしが子供の頃の話だった…

わしの父はわしと水面近くを散歩していた。

そこにミラクルオーブほどではなかったが、光る石が降りてきた。

わしがそれを触ろうとしたら父は凄い勢いで止めに入りわしを海の底へと連れて行った。

そして父はわしに王国は海底深くに築く。水面には2度と行くなと言った。

理由を聞いても教えてはくれんかった。おそらく理由を知ったらわしが興味を持ってしまうと悟ったんだろう。今思えばそれが父の優しさであったのかもしれない…

そして父は死に際にわしにこう言った。人間には気をつけろと。

わしは人間とはなんのことか全く理解していなかった。でもようやくわかった。水上には人間という種族がいて、その人間が支配している王国があると。

おそらくミラクルオーブはその人間がわしらを誘き出す為の罠。まさに危険そのものだったのだ…

それなのにわしはなんてことを…

あいつがそれを身をもって証明してくれた。

だからあいつの命と功績を無駄にしてはいけない…

皆のものよく聞け!

今後水面下にミラクルオーブだけでなく、光る石が降りてきても絶対に近づかないこと!

わかったな!」

 

古代魚たち 「はい…」

 

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場面は変わりまた記者会見場に

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記者A 「それはなんです?」

 

太平 「古代魚たちは何か生活を豊かにする存在を崇拝する傾向があると考えました。

なので私は我々で言う太陽のような存在を彼らに作ろうと思ったのです。それがこちらです。」

 

太平は一つのものを記者たちに見せた。

 

記者たち「それは??」

 

太平 「古代魚専用の仕掛けです!

名前は…」

 

記者たち「名前は…??」

 

太平 「ミラクルオーブとでも呼んでおきましょうかね…」

 

記者たち「ほー、ミラクルオーブ」

 

記者A「それで、ミラクルオーブを商品として発売する予定はあるのですか?」

 

太平 「もちろん!

私も手柄を独り占めにはしたくないので明日からでも全国の釣具店に導入させていただこうと思ってますよ。これで皆様も古代魚を釣り上げるチャンスが増えますね。」

 

記者たち「素晴らしい!!」

 

記者会見後。

ラクルオーブは釣具の歴史を塗り替えるほどバカ売れした。

 

しかし、ミラクルオーブで古代魚を釣り上げたものは1人も出なかった…

 

終わり

 

〜あとがき〜

この世には私たちの知らない世界がまだまだたくさんあると私は思っています。そして我々人間を遥かに上回る未知の存在もいるはずです。

時にはその存在と人間の思考が重なり合うことがあってもおかしくないですよね?

そんな想いとそれぞれの存在の立場から今回のストーリーは書かせていただきました。

今後もさまざまなジャンルのストーリーを更新していきますのでぜひこの際読者になっていただけたら嬉しいです。

次回の更新をお楽しみに!

またこういうジャンルのストーリーが見たいなどのご要望があればコメントください!

最後までご覧いただき誠にありがとうございます!

獣虫哀歌1

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「蚊えってこない」

何気ない親子の一コマ…

子「いってらっしゃいパパ」

 

父 「いってきます!

あ、そうだ今日は仕事近場だし早く帰るから、夕方一緒に美味しいものでも食べに行こう!」

 

子 「やったぁ〜、楽しみ〜

 

パンッ…

凄まじい破裂音の後、父の姿を見ることはなかった…

ただ、泣き続けたがもう父は蚊えってこない…

 

 

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